第2回研究会_NGS入門チュートリアル

第二回研究会

プログラム

2012年5月23日(水)

  • 1時限目 13:00~14:00「Seq Cap EZを利用したターゲットシークエンス: シークエンスキャプチャーの基礎」 ロシュ・ダイアグノスティクス株式会社 アレイLCMグループ 北河恵美子
  • 2時限目 14:15~15:15 「ようこそ現場へ!イルミナNGSの基礎知識」 イルミナ株式会社 鈴木健介
  • 3時限目 15:30~16:30 「今日からはじめる半導体シーケンサ」 ライフテクノロジーズジャパン株式会社 古川貴久
  • 4時限目 16:45~17:45 「1分子リアルタイムシーケンサー PacBio RSの原理と利用例」 トミーデジタルバイオロジー株式会社 大崎研
  • 5時限目18:00~19:00 「ドラゴンジェノミクスセンターラボツアー」 タカラバイオ株式会社

2012年5月24日(木)

  • 1時限目 9:30~10:30 「やってみよう!データ解析 – Genomics Workbenchを使った解析ハンズオン -」株式会社CLCバイオジャパン 宮本真理
  • 2時限目 10:45~11:45 「次世代シーケンスを失敗しないための最新ライブラリー調製法」沖縄科学技術大学院大学DNAシーケンシングセクション 藤江学、アズワン株式会社バイオサイエンスグループ 上向健司、日本ジェネティクス株式会社マーケティング部 鈴木智、佐藤一則

要旨

2012年5月23日(水)

1時限目 13:00~14:00「Seq Cap EZを利用したターゲットシークエンス: シークエンスキャプチャーの基礎」 ロシュ・ダイアグノスティクス株式会社

次世代シークエンサーの登場により全ゲノムレベルの塩基配列の解析が可能となり、様々な研究の可能性が飛躍的に広がりました。一方で、ヒトの場合で23対の染色体全て、つまり30億塩基の配列を全て明らかとするには、コストや労力が非常に大きな負担となります。また、パーソナルタイプの次世代シークエンサーの場合には、アウトプットデータ量が制限されておりますので、特定領域のみの塩基配列データを解析するという効率化が必須となります。この問題を解決する手法として開発されたのがSeqCap EZによるシークエンスキャプチャー法です。GS Juniorのサンプル調製の工程は、ゲノムDNAを出発サンプルとして、1.ライブラリ調製、2.エマルジョンPCR、3.パイロシークエンス反応、というワークフローで実験を進めますが、シークエンスキャプチャーは1.と2.との間の工程として実施します。
興味のあるゲノム領域、例えば、免疫反応に関連する一部のゲノム領域や、癌関連遺伝子のエクソン配列をシークエンス解析するための原理は、その領域(“ターゲット領域”)のデータベース登録配列から設計したオリゴDNAプローブと、ゲノムから調製するライブラリ断片とのハイブリダイゼーションを利用しています。オリゴDNAプローブはデータベース登録配列から設計しますので、ターゲット領域はゲノム上の連続した領域でもエクソン配列の様に断片的な領域でも、研究目的に合わせて自由に設定することができます。この手法を用いることによりターゲット領域のゲノム断片を回収し効率的にシークエンス解析することができます。
本セミナーではターゲット領域を効率的に濃縮するための試薬“SeqCap EZ”を利用し、特にパーソナルタイプの次世代シークエンサーでの活用方法についてご紹介いたします。

2時限目 14:15~15:15

「ようこそ現場へ!イルミナNGSの基礎知識」 イルミナ株式会社 鈴木健介

イルミナの次世代シーケンサーが誕生して5年が経過し、研究手法に大きな変化をもたらしました。ゲノムだけではなくエピゲノム、トランスクリプトーム分野において次世代シーケンサーは、今や無くてはならないツールの1つとなってきています。今回の前日チュートリアルでは、今一度、原点に立ち戻り、イルミナシーケンサーのシーケンス反応やペアエンドの原理、解析のポイントを確認します。イルミナの次世代シーケンサーについて、なんとなくわかってはいるがモヤモヤしているところを、できるだけクリアにしていただこうと考えています。

3時限目 15:30~16:30 「今日からはじめる半導体シーケンサ」 ライフテクノロジーズジャパン株式会社 古川貴久

DNAシーケンサのパイオニアであるライフテクノロジーズから最新技術を搭載したパーソナルユースの半導体シーケンサIonPGMが登場し、世界中で導入と活用が進んでいます。IonTorrentの技術は、DNA伸長時に放出されるH+イオンを半導体チップの中で信号に変換し、塩基を解読していくという革新的かつシンプルなケミストリがベースとなっております。この原理は従来に活用されていた光学系の次世代シーケンサとは全くことなる仕組みであり、研究の大幅なスピードアップと大幅なコストダウンを実現するDNAシーケンサです。
本セミナーでは、半導体シーケンサの入門者を対象として、概要、原理、ワークフロー、アプリケーション、データ解析等の基本的な内容について丁寧にご説明いたします。加えて、世界中で報告されているIonPGMを用いた最新の研究成果や、IonPGMの上位機種にあたるシーケンサIonProtonについての最新の情報についても合わせてご紹介いたします。

ご紹介内容 (予定)
– 半導体シーケンサの原理
– 半導体シーケンサのワークフロー
– IonPGMのアプリケーションと活用事例
– IonPGMシステム付属ソフトウェアTorrentSuiteによるデータ解析

4時限目 16:45~17:45 「1分子リアルタイムシーケンサー PacBio RSの原理と利用例」 トミーデジタルバイオロジー株式会社 田中英夫

次世代シーケンサーの登場から6年が経過し、幅広い研究者に認知される解析装置の一つとなりました。$1,000ゲノム構想の下、米国を中心として非常に多くのベンチャー企業や研究組織がしのぎを削って新しいシーケンシング技術の開発競争を繰り広げておりますが、そのような中、2011年4月27日に米国Pacific Biosciences社が従来の次世代シーケンサーとは異なる新しい技術を用いた第三世代シーケンサーPacBio RSの販売開始を発表しました。2011年末からは日本での導入も開始され、従来の次世代シーケンサーとは競合するのではなく、共存しながら活用されることが期待されています。
本チュートリアルでは、シーケンサーの原理にご興味ある方、次世代シーケンサーを用いた研究をこれからご計画される方、あるいは、すでにショートリードシーケンサーをお使いで、ロングリードシーケンサーにもご興味のある方を対象に1分子かつリアルタイムでシーケンシングを行うPacBio RSの原理をわかりやすくご説明させていただくとともに、PacBio RSでのワークフローや実際のアプリケーション例もご紹介させていただきます。また、1分子リアルタイムシーケンシングにより個々の分子の動的な変化の観測が可能になったことで、エピジェネティクス研究における広汎にわたる塩基修飾の検出が実現しました。PacBio RSによる塩基修飾検出についても最新情報を交えてご説明させていただきます。

5時限目18:00~19:00 「学べる!ドラゴンジェノミクスセンター ラボツアー」 タカラバイオ株式会社

タカラバイオでは2006年より次世代シーケンサの受託サービスを開始し、これまでに各種機器・アプリケーション・情報処理ソフトウェアを扱ってまいりました。それらの経験や知識は積み上げられ現在の受託サービス運用に生かされています。今回の学べる!ドラゴンジェノミクスセンター ラボツアーではそれらの内容を惜しむことなく紹介いたします。
サンプル受託時の品質チェック方法から、各種ライブラリー作製方法、次世代シーケンサの選択、情報処理方法など、各工程での弊社作業を写真や説明を中心にツアーしてまいります。
また、微量mRNAの増幅試薬、メチル化ゲノム領域濃縮試薬などの弊社のオリジナル製品を用いた解析や、ご指導いただき立ち上げたbisulfite処理ライブラリー作成法など、独自の解析手法についても紹介いたします。
これらを通じて、タカラバイオの受託サービスがどのように行われているのかをご紹介いたします。
我々のセクションでは、ツアー形式の紹介を通じて、サンプルの品質が良いとはどういう状態か?、弊社が次世代シーケンサによる解析を提案する際に何を指標にどう選んでいるのか?、弊社オリジナル製品を用いた解析プロトコル、シーケンサメーカーのプロトコルにない特殊なライブラリ作製法、オープンソースの情報解析ツールで何ができるか?など、ざっくばらんに色々学んでいただける内容となっております。
また、当日予定のアンケートを通じて、今後の受託サービスに期待することなどディスカッションさせていただきながら、有意義な時間を過ごしたいと考えております。

2012年5月24日(木)

1時限目 9:30~10:30 「やってみよう!データ解析 – Genomics Workbenchを使った解析ハンズオン -」株式会社CLCバイオジャパン 宮本真理

パーソナルシーケンサーの登場により、次世代シーケンサーのデータが幅広い研究分野で利用されるようになってきました。その反面、産出される大量のデータ解析をどのようにすすめるのかが問題となっています。シーケンサーの普及に対して、Bioinformaticianが不足している状況などから、データ解析を誰かに依頼するということが難しく、自分でやろうとするとデータ量の多さや、難しいマニュアルなどで挫折することも少なくありません。このチュートリアルでは、これまでデータ解析にはあまり携わっていなかった人、次世代シーケンサーのデータ解析はこれから、という方々を対象に、次世代シーケンサーのデータ解析を実際のハンズオン形式でみんなで一緒に体験し、解析がどのような流れで進められるのかを見ていきます。次世代シーケンサーのデータ解析では参照ゲノム配列がすでにわかっている場合と新規のゲノムの場合で大まかに二分することができます。参照配列がある場合は、そのゲノムへ対してリードと呼ばれる次世代シーケンサーから産出される短い多数の配列を貼り付けるマッピングと呼ばれる作業を行う、また参照ゲノムがない場合は、de novoアッセンブリと呼ばれるリード配列をつないで長い配列(コンティグ配列)を作成するようになります。その後、変異の検出や発現の比較など、さらに様々な解析を重ねて結果をえるようになります。本チュートリアルでは、それら解析の全体像を俯瞰し、ポイントとなる解析がどのような原理・設定によって結果が得られているのかを初心者の人にも分かりやすい資料を用意して進めて参ります。解析にはCLC bio社製次世代シーケンサー解析ソフトウェアCLC Genomics Workbenchを事前にインストールいただきチュートリアル前半でゲノムサイズの小さな次世代シーケンサーのデータを使った解析を体験し、後半部分ではアプリケーションごとの様々な解析と、それによりどのような結果を得ることができるのかをデモ形式で見ていただきます。CLC Genomics Workbench はWindows/Linux/MacいずれのOSでも稼動し、すべての解析がグラフィカルなユーザーインターフェースを使って行えます。
2時限目 10:45~11:45 「次世代シーケンスを失敗しないための最新ライブラリー調製法」 藤江学1)、上向健司2)、鈴木智3)、佐藤一則3)

  1. 沖縄科学技術大学院大学 DNAシーケンシングセクション
  2. アズワン株式会社 バイオサイエンスグループ
  3. 日本ジェネティクス株式会社 マーケティング部

次世代シーケンスを成功させる 『胆(きも)』 のひとつは、シーケンスを行う意味のある核酸を準備すること、すなわちライブラリーの調製法および定量法を確立することです。いくらシーケンサーのスペックが向上しても、調製したライブラリーのクオリティが低い場合は、シーケンスのデータ解析に悪影響を与えるだけでなく、それに費やされる多くの時間と高価な試薬の無駄遣いになります。そこで、本チュートリアルでは、一般的なライブラリーの調製法を、これから次世代シーケンスを始められる方にも容易にわかるように、

特に、

  1. ライブラリーの作成法とその効率の重要性
  2. 目的サイズのライブラリーを分取する方法とその重要性
  3. ライブラリーを増幅する方法とバイアスをかけないことの重要性
  4. ライブラリー(クラスター数)を正確に定量する方法と重要性

についてご紹介させていただきます。
さらに、現在次世代シーケンスを行われている方には、上記1-4の対応について、現在OISTで行なっている具体的な方法についてご紹介させていただきます。

(敬称略)